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いま大注目のビタミンD あなたは足りていますか?

お待たせいたしました!ビタミンD第2弾です!

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ビタミンD不足の現状とは?過剰症はあるの?
ビタミンDの欠乏は発展途上国のみならず、先進国においても2000年頃より増加傾向にあるという報告がされています。
不足すると、子どもではくる病、大人では骨軟化症が起こるとされています。
「くる病」とは骨がうまく成長されず、背骨が曲がったり、身長が低くなったりします。

「骨軟化症」は骨のカルシウムが減ることで、骨がやわらかくなったり、骨格が変形します。
現在の日本における子どものビタミンD欠乏症の発症率は推定で年間183人と算出されています。これらの要因としては、完全母乳栄養、母親のビタミンD不足、食事摂取不足、アレルギー等疾患による不適切な食品除去や偏食、日光照射不足などが考えられます。
米国小児科学会ではビタミンDの推奨量は、生まれた日から10㎍/日を毎日摂取する必要があるともされています。また、過剰に摂取すると高カルシウム血症となる恐れがあります。

高カルシウム血症とは血中カルシウム濃度が高くなった状態で、嘔吐や下痢、食欲不振といった症状が現れます。また、腎臓にも影響が及ぶ場合もあります。
平成28年の国民健康・栄養調査によるとビタミンDの摂取量は男性で平均7.9μg/日、女性で平均7.2μg/日摂取となっていることから、普段の食生活では過剰症になることはほとんどないと考えられます。ですが、サプリメントにより大量に摂取する場合は注意が必要です。

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ビタミンDは体内でつくられる?
前回の記事で「ビタミンは体内で合成されない栄養素」として解説しましたが、ビタミンDは皮膚に日光が当たることで、皮膚にある7-デヒドロコレステロールを原料にして、少量ですが体内で生成されます。

そのため、適度に日光に当たっていれば欠乏症を起こすことはないとされています。ですが、緯度の高い国や地域では日照時間が短い冬、紫外線量が不足しやすくなっています。

日本においては北海道や東北地方、日本海沿岸地域で、冬の間雪に見舞われ十分に日光を浴びれる時間が短くなっています。
ある研究で、体内でビタミンDを生成する場合に必要な日光照射時間を季節や時刻を考慮して、日本の3地点(札幌、筑波、那覇)で行われました。

紫外線の弱い12月の正午、那覇で8分、筑波で22分、札幌では76分という結果が出たとされています。
この研究結果からもわかるように日照時間の短い地域の方は特に食事からもビタミンDを摂取する必要があると考えられます。

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高齢者や若い女性は不足しやすい?
高齢者の方は加齢とともに、皮膚でのビタミンDの合成が効率的にできなくなってきます。室内で過ごす時間が増えることも1つの原因とされています。
若い女性の方では、紫外線を浴びるとシミやしわの原因となることから日焼け止めクリームや日傘によるUVケアし、日光を避ける傾向になってきたとされています。

これが原因で紫外線が完全にブロックされ、皮膚でビタミンDが生成されないという状態をまねいています。また過度のダイエットにより十分なカルシウムやビタミンDが摂れず、細い女性では閉経後に骨粗鬆所を発症してしまう可能性が高まります。
そうならないためにも、ウォーキングなど軽い運動をかねて外に出て日光を浴びることが大切です。

1日1回両手の甲に15分ほど日光を浴びるだけでも1日に必要なビタミンDを生成することができるとされています(環境省http://www.env.go.jp/より)。

そしてビタミンDやカルシウムが多く含まれている食材も含め、バランスの良い食事を摂りましょう。

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◎ダントツに多く含まれているのは、実はあのきのこ!? 
厚生労働省で定められているビタミンDの1日の推奨量は18~29歳の男女ともに5.5㎍とされています。また、耐容上限量は同じく男女ともに100㎍とされています。
ビタミンDは魚類、特に脂ののった魚に多く含まれています。あんこう(肝)、さけ、さんま、さばなどです。そしてやはり乾物にもビタミンDは豊富で、しらす干しやいわしのみりん干しにも多く含まれています。

その他、きのこ類では、ビタミンDといえば干ししいたけがピンとくると思いますが、実はダントツに多いのはきくらげなんです。もちろん、干ししいたけや舞茸、えのきにも含まれています。
1日の推奨量で換算してみると、「約あんこう肝でティースプーン大盛1杯、さけ1/5切、さんま1/4尾、さば1切、しらす干し大さじ3杯、みりん干し1枚、きくらげ(乾)20個、干ししいたけ10個、舞茸1パック、えのき6袋」くらいになります。(七訂食品成分表2017より)
さけやさば、さんまだと1人前で十分なビタミンDを摂ることができますね。

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ビタミンDの効率的な摂り方
ビタミンD脂溶性であるため、魚類や卵黄のほうが効率よく吸収されますが、きのこ類でも油を使って調理することで吸収率はアップします。

きのこを細かく刻んでハンバーグや肉団子に混ぜると、肉の脂身で吸収率は高まり、きのこがかさ増しにもなるので、満腹感も得られます。また、きのこ類は天日乾燥させることでビタミンDの含有量が数十倍上がるとされています。

生しいたけなど調理する前に日当たりの良いところに置いておくといいでしょう。

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いかがでしたでしょうか?骨だけではなく、風邪予防や生活習慣病予防として注目されているビタミンD。今後の研究によりさらなる期待もされています。
外に出て積極的に日光を浴び、食事からもビタミンDを摂って健康なカラダをつくりましょう。

次回はビタミンEです。

 

 

執筆担当: 関西真穂(管理栄養士)

大学を卒業後、保育園に勤務。子供たちの給食の献立作成など食育活動を行う。その後、病院へ勤務、患者様の栄養管理を主に担当。現在は、株式会社エビータでの栄養相談や執筆、料理など多くの方への健康管理を幅広く実施中。

2018年6月24日(日)開催 栄養士大学セミナーのお知らせ!

栄養士大学【糖尿病の最新知識と結果を出す栄養相談のコツを得る「糖尿病の食アドバイスを極めるには?!」】

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今回は、管理栄養士であり、御自身が若年発症の2型糖尿病の患者でもある國枝加誉先生を講師に迎え、「糖尿病の最新知識」とともに「結果をだす栄養相談のコツ」を患者側から、管理栄養士側からとして2つの視点から解説をいただきます。
[お申し込みはこちら https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSxbGhik ]

◎こんな人に向いています。
栄養相談をやっているが、これで良いか悩んでいる
栄養相談できちんと結果を出したい。
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糖尿病について最新情報を知りたい。
患者さんの立場、目線を考えたい。

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糖尿病の最新知識と結果を出す栄養相談のコツを得る
「糖尿病の食アドバイスを極めるには?!」
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講座内容
糖尿病と向き合う人やご家族はたくさんいます。栄養士はその方たちにどのように貢献できるでしょう?
日々の食行動をより良い方向へ導き実践いただくために、糖尿病食事療法に関する知識のブラッシュアップだけでなく、「伝わる力」が増す言葉選びのコツなどもお話しします。管理栄養士として日々、クライアントと向き合うだけでなく、自身が若年発症の2型糖尿病患者として、患者側の視点や思いを知る國枝先生に、「知識を単に伝えて終わるのではなく、相手にとってわかりやすく伝える方法」を教えていただきます。

・栄養士の心構え
栄養士は、自分が思う以上に「相手目線」が不足することがあります。患者視点で、「こんな栄養士が必要!」と思える心構えや姿勢、言葉の扱い方に触れます。

・糖尿病の基礎知識
ステレオタイプの知識で終わっていませんか?診断タイプ、病態、合併症になど基礎知識をおさらいしましょう。
・食事療法の動向
栄養バランスの重要性とカーボカウントの実際、糖質制限への対応など幅広くお伝えします。
・多種多様な薬物療法
薬物療法の理解=患者さんの病態の把握です。薬物療法の変遷と食事との関連を解説します。
・最新機器情報
SMBGFGM機器、インスリン注射器具を実際にお見せしながら様々な解説を行います。

 

〈詳細〉
日時:2018年6月24日(日)10時~12時 (受付9時45分~)
場所:南青山キッチンスタジオ DACARADA
   東京都港区南青山2-29-9南青山リハイム804(正面玄関左手のエレベータをご利用ください)
   銀座線外苑前駅1a出口より3分
   銀座線表参道駅より7分
   https://peraichi.com/landing_pages/view/dacaradastudio
講師:國枝加誉 先生(管理栄養士 健康食育シニアマスター)
   17歳でやせの2型糖尿病となったことで食健康の重要性を痛感して管理栄養士の道へ。同支社女子大学卒業後、大学病院での病棟専任栄養士、メニュー開発などを経て、現在はフリーランス栄養士として糖尿病クリニックでの食相談(栄養指導)、講演、執筆を中心に活動。

金額:スタジオ参加3,800円(資料、お土産つき)
   ウェブ参加3,000円 (*ウェブ参加は、ネット環境があるところであればどこからでも参加できます。資料の配布はございませんので、予めご了承ください。)
募集人数:会場12名 ウェブ参加30名
申し込み方法:こちらからお申込み下さい https://1lejend.com/stepmail/kd.php?no=HSxbGhik
連絡先:一般社団栄養士戦隊☆事務局(関西)welcome@eiyoushisentai.com
申し込み期限:2018年6月20日(水)

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栄養士大学 (主催:一般社団法人栄養士戦隊☆)
栄養士大学では、管理栄養士、栄養士、栄養科学生さんを対象にしたスキルアップのための講座を開講しています。参加ごとにポイントが付与されます。ポイントを集めていただくことで、講座の割引ポイントや栄養士戦隊☆のお茶会へのご招待を始め、希望者には優先的なお仕事のご依頼を行なっています。今後の細かいスケジュールなどは、以下URLにて随時お知らせしています。
一般社団法人栄養士戦隊☆ http://www.eiyoushisentai.com

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さまざまな生活習慣病に関係があるとされ今大注目のビタミンD!

第一弾に引き続き、今回はビタミンDについて解説していきます。

ビタミンD脂溶性ビタミンの1つです。直接、骨を強くする働きはありませんが、カルシウムの吸収を高めて骨を丈夫にしてくれます。ほとんどのビタミンは体内でつくりだすことができませんが、ビタミンDは紫外線を浴びると体内で合成される栄養素です。また、近年ビタミンDが風邪や生活習慣病の予防を期待できる栄養素として注目されています。
ビタミンDの知られざる効果と現状について解説していきます。

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ビタミンDの働き
ビタミンDは小腸で吸収され肝臓に集められた後、腎臓に送られます。ビタミンDはそのままの状態では働かかないため、腎臓で副甲状腺ホルモン(PTH)によって活性型ビタミンDに変換されます。
副甲状腺ホルモン(PTH)」とはのどぼとけの横のほうにある副甲状腺という器官から分泌されるホルモンです。血液中のカルシウムが低下すると分泌されます。
PTHによって活性型ビタミンDに変換されてやっとビタミンDとして働きます。活性型ビタミンDは腸管からのカルシウムとリンの吸収を促し、血液中のカルシウム濃度、リン濃度を共に高めます。また同時に、腎臓において尿に出たカルシウムの再吸収を促し、血液中のカルシウムを上昇させます。この時、血液中のカルシウム濃度が上昇すると分泌されるのがカルシトニンです。「カルシトニン」はのどぼとけにある甲状腺という器官から分泌されるホルモンです。分泌されると骨へカルシウムの供給を促します。
このように、血液中のカルシウム、リン濃度は共にビタミンD、PTH、カルシトニンによって調整されており、骨の成長促進や丈夫な骨、歯を形成、維持に働いています。

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◎骨だけじゃなかった!ビタミンDであらゆる疾患を予防する?


ビタミンDで免疫力UP!
近年、ビタミンDは免疫にも関与しているとされています。日本の大学で、冬の間にビタミンDを摂取していた子どもと摂取していない子どもを比べた研究が行われました。その結果、ビタミンDを摂取した子どものインフルエンザ発症率は半分ほどに抑えられたという報告があげられています。
風邪やインフルエンザが流行する時期や受験シーズンは、日照時間が短いため嬉しいはたらきではないでしょうか。意識してビタミンDを摂るといいですね。

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ビタミンDと糖尿病の関係性とは?
国立がん研究センターによる研究ではビタミンDを摂取することで糖尿病の発症リスクを低減させると報告されています。
ビタミンD膵臓のβ細胞に直接作用してインスリン分泌に関与していること。不足するとインスリン感受性が低下するということが報告されており、このことから糖尿病の発症に関与している可能性があると考えられています。
現段階において、ビタミンDと糖尿病予防のメカニズムは具体的に明らかにされていませんが、今後さらに研究が進められ、明らかになることが期待されています。(国立がん研究センターよりhttp://epi.ncc.go.jp/index.html

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たんぱく質だけじゃない?筋力向上の効果
ビタミンDビタミンD受容体を通してホルモンと同じ様な働きを持ちます。ビタミンD受容体とはビタミンDを受け取るタンパク質であり、細胞内の存在しています。ビタミンD受容体は骨格筋にも存在しており、受容体を介した刺激で筋肉中のタンパク質が合成されます。また、ビタミンDには分岐鎖アミノ酸のロイシンがある筋肉の合成を促進し、分解を抑制する働きを促す作用があるとされています。
ビタミンDには筋量を増やす効果はないとされていますが、筋力を向上させることで、高齢者に多い転倒のリスクを防ぎ、骨折をも防ぐことができると考えられます。

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ビタミンDはがんを予防する?
ビタミンDに抗がん作用があるということは多くの研究で報告されています。
ビタミンDの摂取量が多く日照時間が長い人はがんの発生率が低いことや、日照時間の長い夏場より短い冬場の方ががんの進行度が遅いといった研究報告があげられています。
現段階ではビタミンDががんのリスクを低下させるという確実性の高い根拠はないとされ、多くの課題があるなか、今後さらに研究が進められるとされています。

このようにビタミンDはあらゆる疾患、生活習慣病に深く関係していると注目されています。ですが、現代の日本人の多くはビタミンDが不足しているという報告もあります。意識的にビタミンDを含む食材を摂り、日光を浴びることを心がけることが、風邪や生活習慣病を予防し、健康にも繋がっていると考えられますね。

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ビタミンDの種類
ビタミンDにはビタミンD₂、D₃、D₄、D₅、D₆、D₇の6種類あります。その中でも重要といわれているのがビタミンD₂とD₃です。
ビタミンD₂」はキノコ類のみに含まれているエルゴステロールに紫外線が当たることによって生成されます。
ビタミンD₃」は皮膚に存在する7-デヒドロコレステロールが紫外線の照射によって生成されるものと、魚類やバター、卵黄に含まれるものがあります。
ビタミンD₂、D₃ともに同じ働きをしており、2つ合わせてビタミンDです。

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つづく、、、

次回!さらに深くビタミンDを解説します。

いったいどん食材に多く含まれているのか⁈…お楽しみに!

 

 

執筆担当: 関西真穂(管理栄養士)

大学を卒業後、保育園に勤務。子供たちの給食の献立作成など食育活動を行う。その後、病院へ勤務、患者様の栄養管理を主に担当。現在は、株式会社エビータでの栄養相談や執筆、料理など多くの方への健康管理を幅広く実施中。

沖縄で伝わる大切な言葉「ぬちぐすい」とは?

「ぬちぐすい」の由来

沖縄の方言で「ぬちぐすい」という言葉があります。沖縄の言葉で、「ぬち」は命、「ぐすい」は薬、つまり、「ぬちぐすい」とは、食べものが薬になるくらい効果があるという意味です。特に台風などで自然災害も多かった沖縄では、医食同源として先人から食事の大切さが受け継がれてきました。

 「ぬちぐすい」という言葉の原点は、琉球王国時代に書かれた琉球食療法の指導書「御膳本草」です。現在で例えると、栄養学と食品成分表を合わせたような本です。この指導書の著者であり、医師である渡嘉敷親雲上通寛(とかしきぺーちんつうかん)は、病気だった琉球王国17代王様 尚灝王の治療をしようと中国(北京)に留学し、漢方や食事療法などを学び、帰国後、王の侍医となりなりました。

中国で学んだ内容を元に、琉球独自の食材の効能、食材の組み合わせなど食事療法をまとめ本にしました。大災害の際、この考え方が民間にも広がり、今でも「ぬちぐすい」として受け継がれています。

 

※(写真の「御膳本草」は、1964年當間清弘により再刊された復元本です。)

 

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琉球料理と沖縄料理の違い 

沖縄には、琉球料理と沖縄料理があります。琉球料理とは、琉球王国時代に宮廷で食べられていた宮廷料理と、民間で伝統的に受け継がれていた料理です。沖縄料理は沖縄県の郷土料理で、第二次大戦後アメリカの影響を受けて作られるようになった料理や、伝統的に伝えられた料理です。「ぬちぐすい」の原点は、琉球の宮廷料理ですが、沖縄料理もその考え方が伝えられています。

 

沖縄独特の食文化が誕生した理由は、琉球として1つの独立国だった時代から他国との交流が盛んに行われていたためです。

日本が、中国との交流がない中、琉球では、1372年ごろから中国との交流が始まっています。

500年続いた琉球時代の中で、国王が交代する際、「冊封」(さっぽう)という中国から国王として承認を受ける式典が行われていました。この式典が開催される際には、中国から使節団である冊封使(さっぽうし)が約430~500名が訪れます。琉球の人々は、この冊封使をもてなそうと中国へ渡り中国料理を学び、琉球の料理に取り入れました。また、薩摩との交流が始まると、料理人が薩摩へ渡り日本料理を学びました。琉球料理は、時代に合わせ変化し、独特の食文化を作り上げて行ったのです。

このように琉球料理は、「ぬちぐすい」を基本に、中国料理と日本料理を取り入れてできたものです。

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沖縄は長寿県って本当?

長寿日本一として有名になった沖縄県ですが、食生活の変化により、実は、長寿ランキングが下がっています。現在、県全体で「長寿を取り戻そう!」と目標を掲げ沖縄県健康課が計画した「おきなわ21」に基づき、『ぬちぐすい』や食生活を見直す活動に力を入れています。

 

厚生労働省都道府県別生命表の調査「都道府県別にみた平均余命」によると、沖縄県は、1975年〜1985年の10年間、男女ともに1位、2位の座を維持し、1985年「世界長寿地域宣言」をしました。この調査は5年ごとに行われるのですが、男性ランキングが、1995年4位から2000年に26位へと5年間で急に下がる自体が発生しました。この急落は、「沖縄26ショック」といわれ、全国的にニュースになりました。

2017年のデータでは、男性36位(80.27歳)、女性7位(87.44歳)となっており、沖縄は、もはや長寿と言えない状況になっています。この理由として、車社会の普及により運動不足や、食生活の欧米化、移住者が多く伝統的な沖縄家庭料理が減り、「ぬちぐすい」のが、考え方が食生活から薄れていっているのではないかと考えられます。

 

ちなみに、2018年の「都道府県別にみた平均余命」の1位は、男性は滋賀県、女性は長野県です。また、厚生労働省から公表された平成27年市区町村別生命表「市区町村別平均寿命」では、沖縄県北中城村の女性が3年連続1位となり、沖縄県一部地域では長寿をキープしています。

 

 

とは言っても、沖縄の食材はすごい!

沖縄県は、本土に比べ紫外線が強く、平均気温23度の亜熱帯気候で台風の通り道です。沖縄で栽培されている島野菜は、紫外線や雨風に強く、抗酸化作用があり、ビタミンやミネラル類が豊富に含まれる野菜が多いのが特徴です。抗酸化作用とは、紫外線やストレスなどで細胞ついた細胞を修復し、老化(体の酸化)を防ぐ作用のことです。

伝統農産物の島野菜は28種類あり、一部は昔から薬草として使用され、現在も生薬や民間薬として用いられています。そのため、島野菜の栄養素や効能は、「ぬちぐすい」や「長寿」に関係があると期待され、改めて注目されています。

 

沖縄県農林水産部は、健康長寿県として注目される沖縄において、戦前から導入され、伝統的に食されてきた地域固有の野菜を【伝統農産物】(別名:島野菜)と定義しました。

次回は、そんな沖縄の【伝統農産物(島野菜)】についてご紹介します。

 

 

 

執筆担当: 宮澤かおる(管理栄養士 沖縄料理研究家)

1981年生まれ 聖徳大学食生活専攻を卒業後、同大学の助手として勤務。栄養指導論を専門分野とし、講義サポートに携わりながら、管理栄養士を取得。その後、病院勤務を経て、現在は、伝統食材である沖縄食材を使った料理を広め、「ぬちぐすい」をモットーに活動し沖縄料理研究家として発信。調理アシスタント、カウンセリングと合わせて広めている。

風邪予防にも、花粉症にも⁈ビタミンAの働き

◎ビタミンとは
ビタミンは、エネルギー源や身体を構成する栄養素ではなく、炭水化物・タンパク質・脂質からエネルギーをつくりだす働きを助ける栄養素であり、人が成長し、健康を維持するために必要です。
ほとんどのビタミンは体内でつくりだされないため、普段の食事から摂取しなくてはなりません。

◎ビタミンは2種類に分けられる
ビタミンは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンに分けられます。
脂溶性ビタミン」はビタミンA、D、K、Eの4種類で、脂に溶けやすい性質です。肝臓に蓄積されやすく、過剰症を起こす場合もあるため過剰な摂取には注意が必要です。
「水溶性ビタミン」はビタミC、B1、B2、B6、B12、ナイアシンパントテン酸葉酸、ビオチンの9種類です。水に溶けやすい性質であり、尿中に排出されるため、過剰症の心配はないとされています。
13種類ものビタミンがそれぞれどのような働きをしているのか、またどんな食材に含まれているのか、本日よりビタミンを1つずつ解説していきます。

まず第一弾はビタミンAについてです。

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◎ビタミンAのはたらき
①風邪や感染症を予防し、免疫力をアップさせる
皮膚やのど、鼻、肺などの粘膜の健康を維持する働きをします。皮膚や爪を乾燥から守る働きのほか、粘膜を保護して風邪や花粉症の予防、免疫力を高めて、インフルエンザなどのウイルスの侵入を防ぐ働きなどが期待されています。
②発育を促進させる
骨や神経が構成される際にその働きを助ける役目をしています。不足すると成長障害が起こるとされています。ですが、摂取することで予防できるとされています。国立健康・栄養研究所によると、6か月齢~5歳の子どもにおけるビタミンAの摂取は全死亡率、下痢、はしか、夜盲症などのリスクの低下が認められているとされています。
③目が光を感じる網膜の成分
目の網膜には「ロドプシン」といわれる光を感じ取る物質があります。薄暗い所でもかすかにモノが見えるのはロドプシンが光を感じとり神経細胞に伝える働きをしてくれるからです。ビタミンAはロドプシンの構成成分として必要です。
④抗酸化作用
ビタミンAは抗酸化作用を持つビタミンの1つです。動脈硬化やがん、老化は酸素の一部が活性化された活性酸素が細胞を損傷させる酸化反応が原因とされています。抗酸化作用とはその原因となる活性酸素の働きを抑える働きをしていますので、若さを保ちたい、髪や美肌を保ちたい、生活習慣病を予防したい、という場合にも必要な栄養素です。

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◎ビタミンAの種類
ビタミンAはレチノールとβ-カロテンからなります。
「レチノール」は肉、魚、卵など動物性食品に多く含まれています。レチノールは、動物の内蔵や魚の肝などに多く含まれ、ももやロースなどには少量です。魚介類では、特に、エビやカニなどカロテノイドの1種であるアスタキサンチンと言われる赤い色素が含まれます。このアスタキサンチンは、強力な抗酸化作用があり、ビタミンEの数100倍とも言われています。
「β-カロテン」は野菜に多く含まれています。中でも、赤、緑、黄色などの色の濃い野菜に多く含まれているので、こうした野菜を意識的に摂ることがオススメです。こうした色濃い野菜を緑黄色野菜と呼びます。
緑黄色野菜の定義は、厚生労働省により「可食部100g当たりにカロテン含有量が600μg以上野菜」となっています。
β-カロテンは体内でビタミンAが不足したときにビタミンAに変換されるはたらきをしています。必要量以外は肝臓には蓄積されず、尿として体外に排出されるため過剰症の心配はありません。 
どちらもビタミンAとしての働きをもっています。

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◎1日どのくらいの量をとればいいの?
厚生労働省で定められている、1日の推奨量は18~29歳の男性850㎍RE(マイクログラムレチノール当量)、女性で650㎍REとされています。(厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015)
例えば男性1日量で換算すると、人参で1/3本、ほうれん草で1.5束、かぼちゃ1/6玉です。

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                  (厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015)



◎不足するとどうなるの?
不足すると「夜盲症」のリスクが高まります。夜盲症とは、昼間は普通に見えていても、夜になると見えにくくなる症状が起きるとされていますが、日本での発症された報告はなく、発展途上国では年間約35万人人もの子どもがビタミンA欠乏により失明していると報告されています。(参考:国立健康・栄養研究所よりhttps://hfnet.nibiohn.go.jp/
不足だけではなくアルコールの過剰な摂取も、体内に蓄えられているビタミンAを消耗させてしまうので注意が必要です。
また、ビタミンAは摂り過ぎにも注意が必要であり、上限量も定められています。男女ともに2700㎍REとされています。
過剰に摂取してしまうと頭痛や嘔吐、めまいといった症状が現れます。
妊娠初期に過剰に摂取してしまうと胎児奇形性、先天異常などを持って生まれてくる可能性が高いといわれています。
国が定める日本人の食事摂取基準ではビタミンAの推奨量は妊娠初期、中期共に一般の女性と同量であり、妊娠末期の方は730㎍REとなっています。過剰症が起こる可能性がある最小量も成人では13,500μgRAE/日とされています。13,500μgRAEというと、人参であれば20本分、鳥レバーであれば100gほどです。つまり、日常の食生活で過剰症になることは、あまり考えにくいですが、サプリメントや健康食品などの摂取については注意が必要ですf:id:DACARADA:20180521155137j:plain



◎どんな食材に多いの?
レチノールは肉類では牛レバー1100㎍RE、豚レバー13000㎍RE、鶏レバー14000㎍RE(すべて100gあたり)含まれています。魚類ではあんこう肝8300㎍RE、うなぎの蒲焼1500㎍RE、銀だら1500㎍RE含まれています。
特に豚レバー、鶏レバー、あんこう肝には非常に多く含まれていますので豚レバー、鶏レバーは1日にやきとりの串1本分ぐらい、あんこう肝はティースプーン3杯分くらいがいいでしょう。その他、卵黄で480㎍RE、プロセスチーズで240㎍RE含まれています。
β-カロテンで、ビタミンAの1日量を摂取しようとすると、「人参1本、ほうれん草1.5束、西洋かぼちゃ1/6玉、春菊12株、小松菜3袋」ぐらいです。
つまり、一般的には、不足しがちなことが多いので、色の濃いトマトやほうれん草などの緑黄色野菜をあまり摂らないという方をはじめ、野菜不足と感じる方も、ぜひ、意識的に緑黄色野菜を摂取してみましょう。

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◎ビタミンAの上手な摂り方
β-カロテンを効率的に摂取するには生のままではなく、茹でてから摂取することで吸収率が高まるとされています。また、油と一緒に摂るといいともされています。
そのため、緑黄色野菜が豊富なカラフルなサラダを食べるときには、ノンオイルドレッシングよりも、オリーブオイルをかけたり、ドレッシングで食べることがオススメです。

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いかがでしたでしょうか?ビタミンAは、βカロテンで意識をしてもらうと、過剰症の心配をせず、風邪予防、美肌効果が期待できてしまうビタミンです。ぜひ、今日から意識してみてくださいね。

 


次回、第2弾はビタミンDについてです!

 

 

 

参考文献

厚生労働省 日本人の食事摂取基準2015

厚生労働省 平成28年度国民健康・栄養調査

・栄養の基本がわかる図解辞典 成美堂出版

・しっかり学べる栄養学 ナツメ社

・ビタミン・ミネラルのとり方 丸善株式会社

 

 

  執筆担当: 関西真穂(管理栄養士)

  大学を卒業後、保育園に勤務。子供たちの給食の献立作成など食育活動を行う。その後、病院へ勤務、患者様の栄養管理を主に担当。現在は、株式会社エビータでの栄養相談や執筆、料理など多くの方への健康管理を幅広く実施中。