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沖縄伝統農産物vol.1 琉球王国時代から愛されているゴーヤー

「ゴーヤ」じゃなくて「ゴーヤー」です

ゴーヤーはウリ科ニガウリ属。一般的に、「ゴーヤ」「ゴーヤー」と言われていますが、これは、実は沖縄の方言。「ゴーヤー」が正しい書き方です。その他、ニガウリ(和名)や、ツルレイシと呼ばれることもあります。原産国は亜熱帯アジアで、国内の主な生産地は沖縄、宮崎、鹿児島、関東など、暖かいところでは育ちやすいのが特徴です。

琉球王国時代の15世紀ごろ中国から沖縄へ渡り、現在は沖縄を代表する伝統島野菜となりました。琉球王国時代の栄養学書「御膳本草」によると、ゴーヤーについて『苦瓜(クグワ):ガフヤアと云い、蔓茘枝(つるれいし)のことである。気味、苦、甘、平、毒はない。邪熱を除き、疲労を解き、心を清め、目を明にする。夏の月は毎日食ってよい。』と書かれています。その時代から、疲労回復の夏野菜として、親しまれてきたことがわかります。中国でも暑気払いの野菜として食されていたようです。

また、いつの時代から、ゴーヤーと呼ばれるようになったのかは明確ではありませんが、琉球王国時代の名「ガフヤア」が方言などのなまりで、ゴーヤーに変化したのでは?と思います。

 

現在の品種は10種類以上あり、沖縄でよくみられ比較的苦味が少ない「あばしゴーヤー」、細長く苦味があり九州栽培されている「長れいし」、白く苦味が少ないいぼが丸みがある「白れいし」などで、主に出回っている種類は、「汐風」や「群星」などが多く、種類によって苦味が異なります。旬は5月~9月で、関東では梅雨あけ頃に店頭にたくさん並び始めます。

 

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全国にゴーヤーが広がった きっかけは?!

5月8日「ゴーヤーの日」をご存知ですか。沖縄では5月8日ごろからゴーヤーの出荷が増え、多くの方に広めたいと1997年沖縄県とJA(全国農業協同組合連合会)沖縄経済連が語呂あわせから制定しました。毎年5月8日の沖縄県内は、ゴーヤーイベントが開催されています。

 

関東に広がったきっかけは、7月ごろになると関東でもよく見られる「緑のカーテン」と言われています。この緑のカーテンは、ゴーヤーのツルが窓際に伸び、カーテンのように日よけになるといわれ、2007年ごろから流行しているのですが、実際に挑戦したことのある方も多いはずです。

この流行のきっかけになったのは、東京都板橋区の小学校です。当時、校長先生だった沖縄出身の高山厚子さん(現在は沖縄料理研究家)が学習の一環で、エアコン代わりになる緑のカーテンを学校全体で取り組んだのが最初。その後、あちこちの学校や、会社、自宅で実践する方が増えていきました。全国的に流行して現在では夏の風物詩となっていますね。

 

 

ゴーヤーのビタミンCは、加熱しても壊れないって本当?

ゴーヤーの栄養素は、コラーゲンの合成を助ける美肌作用や抗酸化作用があるビタミンCが多く、100g中76㎎でみかんやグレープフルーツの約二倍含みます。

ゴーヤーに含まれる還元型ビタミンC (アスコルビン酸)は、熱に強いですが、調理法により流失します。ビタミンCの性質として水に溶けやすい水溶性ビタミンなので、茹でたり煮ることにより煮汁に流失します。特にゴーヤーのビタミンCは、短時間の加熱調理での流失が少なく、他の野菜に比べると多く含まれるため、「加熱しても壊れない」といわれてきたようです。調理方法によって流失量は異なりますが、沖縄の定番料理ゴーヤーチャンプルーは、さっと炒めるので、ビタミンCの流失は少なく、理にかなった調理法です。

 

その他、造血作用がある葉酸、脂質や糖質の代謝作用があるパントテン酸、体内の浸透圧やPHを正常に保つ作用があるカリウムなどを含みます。

夏場の紫外線が多い時期は、ビタミンC・ビタミンA・ビタミンEを含む料理「ゴーヤーと人参の胡麻ナムル」など、抗酸化ビタミンの組み合わせがおススメです。抗酸化作用が高まり、日焼けなどによる老化防止効果が高まります。

 

苦味成分モモルデシンは、胃腸を促し食欲増進効果があると期待されています。

一部で「糖尿病に良いのでは?」との情報が出回っていましたが、血糖値に影響することがありますが、効果は有効ではないといわれています。また、種子に含まれているモモルカリンは動物実験において、妊娠阻害作用があるとの研究結果もあり、摂取は避けましょう。

 

 

主な料理には、定番のチャンプルーをはじめ、天ぷら、玉子焼き、ピクルス、サラダ、ジュースなど苦味を活かした料理が多くあります。

一方、熟したゴーヤーは緑からオレンジ色になり苦味がなく、種の周りは赤く甘くなります。毎年、ゴーヤーを栽培していますが、完熟ゴーヤーを使用したスムージーは、夏の楽しみの1つです。ミキサーに種を取り除いたゴーヤー1本、バナナ1本、牛乳100cc、はちみつ大匙1、バニラエッセンス少々、氷3個を入れスイッチポンで絶品スムージーの出来上がり!苦味がないのでお子様も喜ぶ、夏のおやつにもぴったりです。熟したゴーヤーは捨てず、ぜひ試してみてくださいね。(材料は約2杯分)

 

 

今回は、チャンプルーだけじゃない、ゴーヤーが苦手な人でも食べやすい!

モズクと豆腐入りでヘルシーだけど満足感あるゴーヤーバーグをご紹介します。

夏に食べたい!

ゴーヤーのモズク豆腐ハンバーグ

 

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 写真は2人分

 

材料  4人分 (作りやすい分量)

ゴーヤー140g1本 もずく(生)80g 木綿豆腐120g 豚ひき肉120g A(塩小さじ1/2 こしょう少々 生姜(すりおろし)1g) B(しょうゆ小さじ1 ごま油小さじ1 小麦粉大さじ1) ごま油大さじ1  小麦粉大さじ1 糸唐辛子適量

 

作り方

1.ゴーヤーは約1㎝の輪切りにし中のワタを取る。もずくは約2㎝長さに切る。

2.ボールに豚ひき肉、木綿豆腐、Aを加え粘りが出るまで混ぜ、B、もずくを加えよく混ぜ合わせる。

3.1のゴーヤーに軽く小麦粉をまぶし、2を詰めながら形を整え軽く小麦粉をまぶす。(ゴーヤーの穴に具を入れ、反面は丸く整えると焼き上がりが可愛く仕上がる)

4.フライパンにごま油をしき熱し、3を具の方から中火で焼き、両面焼き色が付いたら蓋をして弱火で中まで火を通し、お皿に盛り、糸唐辛子を上にのせる。

 

栄養価(1人分) 

エネルギー157Kcal、タンパク質8.2g 、脂質10.9g、炭水化物5.8g、糖質4g、食物繊維1.8g、ビタミンC 27g、塩分1g

 

ポイント

*苦味が、苦手な方は最初にゴーヤーを軽く塩もみする。

*糸唐辛子のかわりにマヨネーズをかけても食べやすくなります。

 

 

 

【参照】

※三ツ星印刷所 「御膳本草」 渡嘉敷親雲上通寛 (訳:當間清弘)

女子栄養大学出版 「文部科学省 日本食品成分表2015年版 七訂準拠」

※株式会社そしえて 「緑のカーテンの恵みを食べよう」 高山厚子※ゴーヤーに含まれるアスコルビン酸(還元型ビタミンC)の加熱時の減少

http://www.pref.okinawa.jp/arc/_userdata/kenkyuhoukoku/09/03.pdf

 

執筆担当: 宮澤かおる(管理栄養士 沖縄料理研究家

1981年生まれ 聖徳大学食生活専攻を卒業後、同大学の助手として勤務。栄養指導論を専門分野とし、講義サポートに携わりながら、管理栄養士を取得。その後、病院勤務をへて、現在は、伝統食材である沖縄食材を使った料理を広める「ぬちぐすい」を広める活動を沖縄料理研究家として発信。調理アシスタント、カウンセリングと合わせて広めている。